FXのモメンタムとは?意味・使い方・計算式について

第21回

FXのモメンタムとは?意味・使い方・計算式について

目次

口座開設を検討する人

まずは、
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口座開設を検討する人

FXにおけるモメンタムは、トレンドの強さや方向性を把握する際に役立つテクニカル指標です。過去のデータとの価格差を分析することができ、モメンタムを上手く活用することができればFXの勝率を上げることができるでしょう。しかし、モメンタムには弱点もあるため、リスクを把握したうえで運用することが大切です。
この記事では、モメンタムの意味や使い方にくわえて、計算式や注意点について詳しく解説します。モメンタムと相性の良いテクニカル指標なども紹介しておりますので、モメンタムを上手く使いこなしたい方はぜひ参考にしてください。

1、モメンタムとは?

モメンタムとは、「勢い」と訳されますが、相場の勢いや方向性を判断するオシレーター系の指標です。このモメンタム分析が普及するきっかけとなったのは、J.ワイルダーといわれています。ワイルダーといえば、RSIやDMI、パラボリックSARを開発したことで有名ですが、数値で相場の水準を規定するモメンタムの影響を大きく受けたであろうと容易に想像できます。

トレードには順張りというトレンドを意識した手法と、逆張りというトレンドが無いときに活用する手法があります。移動平均線などはトレンドを意識した典型的な手法です。トレンドに沿って動いているときは機能性が高いのですが、相場がレンジ相場になると反応が若干遅くなるため、相場の転換点を察知するのが遅くなります。一方で、モメンタムなどの指標はレンジ相場の時には非常にうまく機能する指標となっているため、相場の状況に合わせて使い分けることが大切です。

モメンタム

2、モメンタムの計算式

モメンタムの一般的な計算式は非常にシンプルで以下の計算式となります。

モメンタム=当日の終値―n日前の終値
(n=ある期間で、これがパラメーターとなります)

例えば、米ドル円の当日の終値が160円、n日前の終値が150円の場合を計算します。
モメンタムは「160―150=10」となります。


ただし、MT4のモメンタムは、比率を求めるのが特徴となっており、計算式が異なります。

MT4モメンタム=(当日の終値÷n日前の終値)×100
(n=ある期間で、これがパラメーターとなります。)

例えば、米ドル円の当日の終値が160円、n日前の終値が150円の場合を計算しましょう。
モメンタムは「(160÷150)×100=106.66となります。

引き算であれば、0より大きいケースと、0より小さいケースが出てきます。比率の場合は、100より大きいケースと、100より小さいケースが出てきますので、そこがポイントになります。

3、モメンタムの計算式の意味

ここからは、モメンタムの計算式の意味を考えてみましょう。


モメンタムはある期間の終値と比べているため、引き算と割り算のどちらであっても、価格変動があれば数値が変わってきます。その基準はn日前と当日の終値が同じ場合で、この場合は引き算であれば「0」となり、割り算であれば「100」となります。
ここでは比率の計算である「100」を基準に考えてみましょう。100だったモメンタムが上に動き出せば(100を超えた数値)上昇してきたことを示し、100だったモメンタムが下に動き出せば(100未満の数値)下降してきたことをしまします。つまり、100以上でモメンタムがさらに上昇してくれば強気相場になってきたと分かります。逆に100以下でモメンタムがさらに下降してくれば弱気相場になっているというわけです。

ここでモメンタムの大事な意味合いを考えてみましょう。n日前の終値のnを「10日」として考えてみます。10日前よりも価格が上昇していれば基本的にはモメンタムは上昇しますが、次の日も前の日と同じ上昇率であれば、モメンタムは横ばいになります。
この「上昇率が同じであればモメンタムが横ばいになる」という点が重要です。価格が上昇していても上昇率が同じであれば横ばいになるという事を理解すると、モメンタムの理解度が一気に高くなります。
ということは、価格としては上昇していても上昇率が小さくなっていけばモメンタムはどうなるのでしょうか。この場合、モメンタムは下がっていきます。この価格とモメンタムの変化を読み解くことが重要であり、モメンタムの計算式にはそういった意味が含まれているのです。   

モメンタム(n=2日の例)

4、モメンタムの売買サイン

モメンタムが上昇率や下降率を見ていることは先ほど確認しました。これにより、モメンタムの売買サインが見えてきます。


基本の売買サインはモメンタムが100以下から100以上となり100を超えてくれば買いサインとなります。そして、モメンタムがさらに上昇してくれば強気相場と判断することが可能です。一方、モメンタムが100以上から100以下となり、100を割ってくれば売りサインとなります。そして、モメンタムがさらに下降してくれば弱気相場と判断します。

次に、価格が上昇していても上昇率が小さくなればモメンタムは下降する、価格が下降していても下降率が小さくなればモメンタムは上昇するという性質を使った売買サインがあります。価格が安値更新時に、モメンタムが直近安値を更新できない場合は買いサインです。価格が高値更新時に、モメンタムが直近高値を更新できない場合は売りサインとなります。

モメンタムと100の関係n=14日買い

モメンタムと100の関係n=14日売り

モメンタム買いサインn=14日

モメンタム売りサインn=14日

5、モメンタムの活用方法

基本の売買サインを確認しましたが、それぞれがなぜ売買サインになるのかを考えてみましょう。
上述した4つの売買サインのパラメーターは、デフォルト設定のままで「14日」となっています。ということは、14日間の値動きの中で、「100を超えてきたから買い」「100を割ってきたから売り」ということで本当に良いのか検討しなければなりません。
FXでモメンタムを上手く活用するためには、なぜそのパラメーターにしたのかという明確な理由が必要です。下の図はパラメーターを「5日」「14日」「20日」「40日」と変えて表示しています。

モメンタム5日

モメンタム14日

モメンタム20日

モメンタム40日

このように、パラメーターを変えて表示することで違いが明確に見えてきます。5日の変化は非常に細かく、まだトレンドが続いているにもかかわらず100を超えたり割ったりしています。
一方、40日に設定すると、ある程度トレンドに沿った変化を感じることができるでしょう。しかし、その分サインの出現が遅くなっています。では一体、パラメーターはどう設定するのがベストなのでしょうか。


結論、モメンタムのパラメーターの適切な設定は、自分がどういったトレンドを狙いたいかによって変わってきます。ある程度大きなトレンドを狙いたい方はパラメーターが大きくなりますし、小さな波動を細かく狙いたい方はパラメーターが小さくなります。どういった手法でトレードしているのかによって適切な設定は変わりますので、自分のトレード手法によってパラメーターを決めていきましょう。


また、モメンタムだけで見るのではなく、他のインジケーターと組み合わせることで、より精度が高いトレードができるようになります。モメンタムは逆張りのインジケーターですので、順張りのインジケーターと組み合わせることで、それぞれのいいとこ取りができるでしょう。私が開発した移動平均線大循環分析を組み合わせることで、トレンド相場ももみ合い相場もそれぞれのインジケーターを照らし合わせながら見ることができます。トレンドがある時は移動平均線を中心に分析し、もみ合い相場になればモメンタムを意識して分析することで精度の高いトレードが可能です。

モメンタムと移動平均線大循環分析

上の図であれば、チャートの左半分はトレンドを意識したほうがよく、移動平均線の並び順が入れ替わるところでモメンタムが100を割ったり超えたりするところが狙い目となりますが、右側はもみ合い相場ですので、モメンタムが反転するところを狙ったほうが、確度が高くなっているのが分かります。

6、モメンタムを活用する際の注意点

FXにおけるモメンタムは、相場の勢いやトレンドの転換を測る便利な指標ですが、利用する際にはいくつかの注意点があります。

  ●売買サインが明確ではない
  ●ダマシに遭遇しやすい

モメンタムだけに頼った取引はリスクを伴うこともあるため、特徴を正しく理解し、他のテクニカル指標と組み合わせて使うことが重要です。ここでは、モメンタムを活用する際に注意すべきポイントを解説します。


売買サインが明確ではない

モメンタムは、相場の勢いや方向性の分析に有効なテクニカル指標であり、100のラインから価格がどれだけ乖離しているかによってエントリーポイントを判断します。しかし、ある程度の分析はできるものの、モメンタムの売買サインが曖昧なため、それだけで正確な判断を下すのは難しいです。最終的には主観的な判断でエントリーしていくことになり、特にFX初心者にはリスクが伴います。

そのため、FXでモメンタムを活用する際には、モメンタムの弱点を補ってくれる他のテクニカル指標と組み合わせることをおすすめします。移動平均線やRSIなど、トレンドの転換点や売買サインを分析できるテクニカル指標を併用すれば、トレードの精度を上げることが可能です。モメンタムを使ってみたけれど上手く利益を出すことができない方は、相性の良いテクニカル指標との組み合わせを試してみてください。


ダマシに遭遇しやすい

モメンタムは、相場の勢いが急激に変化した際に敏感に反応し、ローソク足よりも早くサインが出るテクニカル指標です。しかし、100のラインで頻繁に交差することも多く、ダマシに遭遇しやすいというデメリットがあります。そのため、モメンタムの売買サインだけにもとづいて取引を行うのはリスクが高いといえるでしょう。

対策としては、1時間以上の長いローソク足を表示し、パラメーターを10日以上に設定しておくことがあげられます。ローソク足の時間が長いほど、ダマシに遭遇するリスクを抑えられるからです。次に、モメンタムの移動平均線を表示することで、モメンタムが100ラインで頻繁に交差することを防ぐ方法もあります。MT5でモメンタムの移動平均線を表示する場合は、ナビゲーターから「Moving Average」を選択してください。

7、モメンタムと併用したいテクニカル指標

モメンタムはトレンドを分析する際に有効な指標ですが、単独で使うと売買サインの基準が曖昧なのでリスクを伴います。そのため、他のテクニカル指標と組み合わせて使うことが、より精度の高いトレードを実現するための重要なポイントです。ここでは、モメンタムと相性の良い以下のテクニカル指標について解説します。

  ●RSI
  ●移動平均線
  ●ストキャスティクス


RSI

RSI(Relative Strength Index/相対力指数)は、通貨ペアの「買われすぎ」や「売られすぎ」を示す指標で、モメンタムと非常に相性が良いテクニカル指標です。一般的に、RSIの値が70%を超えると買われすぎ、30%を下回ると売られすぎと判断されます。一方、モメンタムはトレンドの勢いや方向性を分析するため、RSIと組み合わせることでトレンドの転換点を分析しやすくなるのです。


モメンタムとRSIを組み合わせる際は、以下の流れでエントリーしてみましょう。
① RSIの値が70%を超えたことを確認
② モメンタムが100のラインを下回ったことを確認
③ 上記の条件がどちらもクリアできた段階で売りのエントリー


モメンタムの売買サインだけでは不安だった場合、RSIを組み合わせることで精度が上がります。ただし、RSIを併用すると売買自体の回数は減る傾向にあることを把握しておきましょう。


移動平均線

移動平均線(Moving Average)とは、一定期間の価格の平均値をつなぎ合わせることで、トレンドの方向性を確認することができるテクニカル指標です。短期・中期・長期のトレンドを分析でき、モメンタムと組み合わせることで売買サインの精度を向上させることができます。


モメンタムと移動平均線を併用する際は、以下の流れでエントリーしてみましょう。
① 中期移動平均線の下にあった短期移動平均線が上抜けしたことを確認
② 本体は短いが、ヒゲの部分が長いローソク足が現れているか確認
③ モメンタムが急激な角度で100のラインを上抜けしたことを確認
④ 上記すべてのポイントをクリアできたら買いでエントリー


ストキャスティクス

ストキャスティクスとは、現在の相場で通貨ペアの買い勢力と売り勢力のどちらが強いのかを判断できるオシレーター系のテクニカル指標です。ストキャスティクスを活用することで通貨の売買比率を分析でき、主に逆張りで活用されます。ストキャスティクスには3つのラインがあり「%K」というラインが75%以上の場合は売り、25%以下の場合は買いで取引をしていきます。


ストキャスティクスとモメンタムを組み合わせる際は、以下の流れでエントリーしてみてください。
① ストキャスティクスの%Kが25%以下になっていることを確認
② モメンタムが100のラインを上回ったことを確認
③ 上記の条件をどちらもクリアしている状態で買いのエントリー


このように、モメンタムと他のテクニカル指標を上手く組み合わせることができれば、より精度の高いトレードを実現することができます。ひとつの情報だけで判断するのではなく、さまざまな角度から分析を行いながらFXで利益を狙っていきましょう。

8、他のテクニカル指標も組み合わせながらモメンタムを活用しよう

モメンタムとは、相場の勢いを見ているインジケーターであるということを解説しました。非常にシンプルな計算式ではありますが、相場の勢いを見るために過去と現在の価格の差を分析し、上昇・下降の勢いを判断することができるのです。ただし、計算式からも分かるように、シンプルがゆえにパラメーターが小さいとダマシも多いインジケーターです。そのため、特にトレンド系のインジケーターと組み合わせることで精度の高い分析ができるようになります。高値更新と安値更新だけでなく、上昇率や下降率も価格変動に影響していることを理解したうえで、モメンタムを上手に活用していきましょう。


(まとめ)

モメンタムとは勢いを見ているインジケーターであるという事を始めに解説しました。非常にシンプルな計算式ではありますが、相場の勢いを見るのに過去と現在の価格の差を見ることで上昇の勢い、下降の勢いを判断することができるのです。ただ、計算式からもわかるように、シンプルが故にパラメーターが小さいとダマシも多いインジケーターです。ですから、他のインジケーター、特にトレンド系のインジケーターと組み合わせることで精度の高い分析ができるようになりますので、高値更新、安値更新だけでなく、上昇率、下降率も価格変動に影響しているということを理解してみていきましょう。

当コンテンツは為替相場等に関連する一般的な情報の提供を目的としたコラムです。特定の投資方法等を推奨するものではなく、また投資の勧誘を目的とするものでもありません。
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小次郎講師直伝「チャートの極意」

小次郎講師(手塚宏二)

小次郎講師(手塚宏二)

チャート分析の第一人者としてセミナーで講師を務めるなど、教育活動を精力的に展開している人気講師。

資格等

日本テクニカルアナリスト協会
認定テクニカルアナリスト

書籍

 『小次郎講師流 目標利益を安定的に狙い澄まして獲る 真・トレーダーズバイブル―Vトレーダーになるためのツール作り』
 『移動平均線 究極の読み方・使い方』
 『小次郎講師流テクニカル大全』

小次郎講師(手塚宏二)について🔗

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