移動平均線乖離率とは?意味・計算式・使い方について

第22回

移動平均線乖離率とは?意味・計算式・使い方について

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1、移動平均線乖離率とは?

移動平均線乖離率(いどうへいきんせんかいりりつ)は、株価が一定期間の移動平均線(MA: Moving Average)からどれだけ離れているかを示す指標です。移動平均線は、一定期間の株価の平均値を算出したもので、株価のトレンドを視覚的に把握するために使用されます。移動平均線乖離率は、株価の現在の位置が移動平均線からどれだけ乖離しているかをパーセンテージで示すことで、株価の過熱感や割安感を判断するために用いられます。


     20日移動平均線乖離率

20日移動平均線乖離率

2、移動平均線乖離率の計算式

移動平均線乖離率の計算式は価格と移動平均線がどの程度、乖離しているかをみています。式は以下の通りです。

移動平均線乖離率=(現在の価格−移動平均線)÷移動平均線×100

具体例)例えば、現在の米ドル円が150円で、20日移動平均線が120円の場合
移動平均線乖離率=(150−120)÷120×100=25
移動平均線乖離率は25%です。
この場合、価格は20日移動平均線より25%上に位置していることになります。

3、計算式の意味

移動平均線乖離率の計算式は、現在の価格が移動平均線に対してどの程度離れているかを示していますので、トレンドの強さを確認することができます。例えば、価格が移動平均線より大幅に上に位置している場合、強い上昇トレンドを示していると考えられます。逆に、価格が移動平均線より大幅に下に位置している場合、強い下降トレンドを示していると考えられます。一方で、価格が移動平均線から大きく乖離している場合、過熱状態にある可能性があります。これは、価格が短期間で急上昇した結果、移動平均線から大きく乖離していることを示します。逆に、価格が大きく下落し、移動平均線から大きく乖離している場合、価格が割安である可能性があります。   

4、基本の売買サイン

まずは、移動平均線乖離率を活用する際の基本的な売買サインを見てみましょう。サインを決めるためには、2つの事項を決めなければいけません。

一つ目は、価格と何日の移動平均線との乖離を見るかという事です。二つ目は、その乖離率が何%以上で売買サインとするかという事です。

ここでは、株式市場で一般的によく使われている移動平均線と乖離率で売買サインをみてみましょう。移動平均線は25日、乖離率は±20%とします。

買いサイン:移動平均線乖離率が大幅にマイナス(-20%)になった場合、価格が過小評価されている可能性があり、反発する可能性があるため買いのサインとされます。

売りサイン:移動平均線乖離率が大幅にプラス(+20%)になった場合、価格が過大評価されている可能性があり、反落する可能性があるため売りのサインとされます。


     25日移動平均線乖離率

25日移動平均線乖離率

移動平均線が25日で、乖離率が±20%でサインとしましたが、上記の図では±3%も変化していないことがわかります。ということは、株式市場のルールをFXに合わせても意味がないことが分かります。為替は2国間の両替レートですので、年間で50%動くだけでも大きな変化となるからです。では、今度は20日移動平均線で±3%の設定で見てみましょう。


     20日移動平均線乖離率

20日移動平均線乖離率

こうしてみると、チャート上に4か所の売買サインが出現しているのがわかります。これは、どのインジケーターでも言えることですが、初期設定のパラメーターを鵜呑みにせずに、計算式の意味を理解して自分でカスタマイズできるようにしていきましょう。

5、移動平均線乖離率の活用方法

ここからは、移動平均線乖離率の具体的な活用法を見ていきましょう。


もう一度、図で確認していきましょう。下の図はFX用に計算式を修正したものでした。20日移動平均線を使い、±3%で売買サインとしましたが、4か所該当するところがあります。その後の動きを見て、そのサインが使えるものかどうかを確認していきましょう。3回の買いサインがありますが、2回とも少しは反発しましたがダマシとなり、3回目で成功となっています。その後、売りサインが出ていますが、これもダマシになっています。つまり、4回中3回がダマシとなっていますので、これでは使い物にならないという事がわかります。では、移動平均線乖離率を使えるものにしてみましょう。


     20日移動平均線乖離率

20日移動平均線乖離率(売買)

移動平均線乖離率を使えるものにする一つのヒントは、フィルターを付けるという事です。どういったフィルターを掛けるのかというと、±3%のサインが出たところを、セットアップとします。そこを仕掛けの準備をします。具体的にいうと、買いサインが出た後に乖離率が反発し、売りサインが出た後に乖離率が反落してきます。そこは仕掛けのサインとせずに、セットアップとして準備をするという事です。どこで仕掛けるのかというのは、買いの仕掛けで解説します。-3%を割って切り返してきたところはセットアップとして仕掛けの準備をします。その後、乖離率が再度反落してきます。その時に価格が安値更新するところはダマシとして仕掛けずに、安値更新せずに二番底をつけて切り返してきたところを仕掛けます。下の図で説明します。


     20日移動平均線乖離率

20日移動平均線乖離率(買い)

買いサインが出ているところは、3か所ありますが、①と②はその後の反落局面で安値を割っています。こういうところは仕掛けません。③のところは、乖離率が反落するも価格は二番底となっています。こういう局面で仕掛けていきます。そうすると、仕掛けのポイントが遅くなると思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、考え方としては「頭と尻尾はくれてやれ」の考え方で、より安く買う、より高く売るというよりも、ダマシを回避する方が大事だという事を理解しましょう。

もう一つの活用法は、ダイバージェンスを活用するという事です。ダイバージェンスとは逆行現象と意味で、価格の動きとオシレーター(乖離率)の動きが逆行することを言います。具体的にいうと、価格が安値更新しているものの、オシレーターは安値更新しない、価格が高値更新しているもののオシレーターは高値更新していないというところです。下の図で確認しましょう。

まずは、①のところで確認しましょう。まずダイバージェンスが発生していることを確認しましょう。価格が安値更新しているものの乖離率は切り上がっています。その後、乖離率が上昇すると共に、価格も高値更新しています。ダイバージェンスは価格と乖離率が逆行しているところです。①のところは、そのダイバージェンスが解消され、価格も乖離率も同じ方向に向かっています。

では、次に②のところを見てみましょう。②のところでもダイバージェンスが発生しています。価格は高値更新していますが乖離率は切り下がっています。その後、乖離率が下降すると共に、価格も安値更新しています。ダイバージェンスは価格と乖離率が逆行しているところですが②のところは、そのダイバージェンスが解消され、価格も乖離率も同じ方向に向かっています。


     20日移動平均線乖離率

20日移動平均線乖離率(ダイバージェンス)

こうすることで、乖離率を使えるインジケーターにすることができますので、ご活用ください。


(まとめ)

移動平均線乖離率を見ることで、トレンドの確認をすることができます。価格が移動平均線からどれだけ離れているかを確認し、上昇トレンドや下降トレンドを判断することができます。移動平均線からの乖離が大きい場合、トレンドが強いことを示します。つまり、乖離率が大きいと上昇トレンド、乖離率がマイナス方向に大きく動くと下降トレンドがあるという事です。また、仕掛けのポイントとしても活用できます。ここでは2つのパターンを解説しました。また、移動平均線乖離率を使ってリスク管理を行うこともできます。例えば、乖離率が過去の平均値から大きく乖離している場合、リスクが高まっていると判断し、ポジションの量を減らします。これにより、過度なリスクを避けることができます。皆さんも移動平均線乖離率を活用してトレードの精度を高めていきましょう。

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小次郎講師(手塚宏二)

小次郎講師(手塚宏二)

チャート分析の第一人者としてセミナーで講師を務めるなど、教育活動を精力的に展開している人気講師。

資格等

日本テクニカルアナリスト協会
認定テクニカルアナリスト

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 『移動平均線 究極の読み方・使い方』
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