アリゲーター(Alligator)とは?意味・計算式・使い方について

第29回

アリゲーター(Alligator)

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1. アリゲーターとは?

アリゲーター(Alligator)は、ビル・ウィリアムズ氏が開発したトレンド系インジケーターで、3本の平滑移動平均線(SMMA)を用いて市場のトレンド状態を判断する指標です。アリゲーターは「ワニ(Alligator)」の口の動きを模した構造になっており、市場がトレンド状態にあるのか、レンジ相場なのかを見極めるのに役立ちます。


アリゲーターは以下の3本のラインで構成されており、それぞれの線を、顎(あご)、歯、唇、と名付けられています。

顎(Jaw):13期間SMMA(青)
歯(Teeth):8期間SMMA(赤)
唇(Lips):5期間SMMA(緑)

各ラインは、一定期間シフト(遅らせる)されて描画されます。



   アリゲーター

アリゲーター

2. アリゲーターの計算式

アリゲーターは以下の3つの平滑移動平均線(SMMA)によって構成されます。

Jaw(顎) = SMMA(13)を8期間シフト
Teeth(歯) = SMMA(8)を5期間シフト
Lips(唇) = SMMA(5)を3期間シフト

ここで使用されるSMMA(平滑移動平均)は、SMA(単純移動平均)とは異なり、直近の価格に重みを持たせる移動平均の一種です。

では、SMAとSMMAの違いを、5日間のSMAとSMMAの計算で見ていきましょう。

(計算式:5日SMAと5日SMMA)
5日間のSMA=(4日間前の価格+3日間前の価格+2日前の価格+前日の価格+当日の価格)÷5(期間)
5日間のSMMA=(1本前のSMMA×(期間-1)+現在の終値)/5(期間)

上記の計算式でもわかるように、SMAは5日間の値動きを単純に平均していますが、SMMAは直近の価格に重みを持たせていることがわかります。

   (SMA)と(SMMA)の違い

(SMA)と(SMMA)の違い

3. 計算式の意味

ビル・ウィリアムズは、市場の「時間のずれ」を考慮しています。そして、マーケットはカオス的な動きをすると考えており、トレンドの開始と認識の間にタイムラグがあると考えました。そのため、SMMAを先行させることで、トレンドの発生を早く察知し、適切なエントリータイミングを見極めやすくする目的があります。さらに、「ワニの口」としての機能を強調させるために、3本のSMMAを先行させることで、3本のラインが適切に開閉し、価格との関係性が明確になりやすくなります。その結果、ダマシを減らし、滑らかなトレンド追従を実現しました。一般的な移動平均線(SMA)と比較すると、SMMAはノイズを軽減し、よりスムーズなトレンドラインを形成します。さらに、これを先行させることで、価格がトレンド方向へ進む前の「兆候」を捉えやすくする効果があります。

【アリゲーターの3本のラインは、市場のトレンド状態を表しています。】
口を閉じている(ラインが収束している) → 市場はレンジ相場(休眠状態)
口を開き始める(ラインが拡散する) → 新たなトレンドの発生
口を大きく開く(ラインが乖離する) → 強いトレンドが進行中
口を閉じる(ラインが再び収束する) → トレンドの終息

この特性を活かし、アリゲーターは市場のトレンド転換を捉えるためのツールとして利用されます。

4. 基本の売買サイン

アリゲーターを用いた売買サインには以下のようなものがあります。

順張りの売買サイン(トレンドフォロー戦略)

【買いサイン】
3本のラインが収束し、その後、緑(唇)→赤(歯)→青(顎)の順に上向きに並んだ場合
強い上昇トレンドの開始を示唆


【売りサイン】
3本のラインが収束し、その後、緑(唇)→赤(歯)→青(顎)の順に下向きに並んだ場合
強い下降トレンドの開始を示唆


   アリゲーター(順張りのサイン)

アリゲーター(順張りのサイン)

逆張りの売買サイン(トレンド転換を狙う)

【買いサイン】
トレンド終了のサインとして、3本のラインが収束した後、価格が顎(Jaw)を上に抜けると上昇転換の兆候


【売りサイン】
トレンド終了のサインとして、3本のラインが収束した後、価格が顎(Jaw)を下に抜けると下降転換の兆候

※ただし、逆張りはダマシが発生しやすいため、他のインジケーターと組み合わせることが重要です。


   アリゲーター(逆張りのサイン)

アリゲーター(逆張りのサイン)

5. アリゲーターの活用法

アリゲーター単体でも市場のトレンド状態を判断できますが、他のインジケーターと組み合わせることでより精度の高いトレードが可能になります。

1)オシレーター系指標との組み合わせ

MACD(移動平均収束発散法)との併用

MACDがシグナルラインをクロスするタイミングでアリゲーターの口が開き始めると、より強いトレンドが発生する可能性が高い。



   アリゲーターとMACD

アリゲーターとMACD


RSI(相対力指数)との併用

RSIが買われすぎ・売られすぎのゾーンを示している場合、アリゲーターのトレンドサインを補強できる。



   アリゲーターとRSI

アリゲーターとRSI


2)他のトレンド系指標との組み合わせ

ボリンジャーバンドとの併用

ボリンジャーバンドが収束(スクイーズ)している状態でアリゲーターの口が開くと、大きな値動きが発生する可能性がある。



   アリゲーターとボリンジャーバンド

アリゲーターとボリンジャーバンド

移動平均線との併用

長期移動平均線と組み合わせることで、より確度の高いエントリーが可能になる。



   アリゲーターと長期移動平均線

アリゲーターと長期移動平均線

注意点
アリゲーターは「トレンドの発生や終息」を示唆する指標であり、明確なエントリーポイントを示すものではありません。
レンジ相場ではダマシが発生しやすいため、他のインジケーターと組み合わせることが重要です。
特に短期取引では、アリゲーター単体よりも補助指標と組み合わせたほうが効果的です。

まとめ

アリゲーター(Alligator)は、市場のトレンド状態を視覚的に把握するための便利なインジケーターです。3本の移動平均線の広がりと収束によって、トレンドの開始や終息を判断することができます。
特に、他のオシレーターやトレンド系指標と組み合わせることで、トレードの精度を向上させることが可能です。市場の状況に応じてアリゲーターを活用し、効果的なトレードを行いましょう。

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小次郎講師(手塚宏二)

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