PIVOT(ピボット)とは?意味・分析・使い方について

第14回

PIVOT(ピボット)とは?意味・分析・使い方について

PIVOT分析

PIVOT分析の図

1、PIVOTとは

PIVOT(ピボット)はこれまたJ・ウエルズ・ワイルダー・ジュニア氏が開発したテクニカル指標で短期トレードで使われる指標です。正式名称をThe Reaction Trend Systemと言い、Reaction Trendとはもみあい相場のことを言います。基本は短期トレードの逆張りに使い、それでいてトレンドの発生も見抜くことが出来る優れものです。

ちなみにPIVOT(ピボット)とは回転のこと。何故、リアクショントレンドシステムがピボットと呼ばれるようになったかはこれからの説明を読めばわかるはずです

2、PIVOTの計算式

①まず前日の高値をH、安値をL、終値をCとします。
PIVOT=(H+L+C)÷3 以下Pと表記
D1=H-P
D2=P-L
D3=H-L
S1=P-D2
S2=P-D3
S3=S1―D3
R1=P+D2
R2=P+D3
R3=R1+D3

昨日の価格、本日のPIVOTの図

ここではわかりやすくPIVOT(ピボット)から高値Hまでの距離をD1、PIVOT(ピボット)から安値Lまでの距離をD2、高値から安値までの距離をD3とし、3つのサポートラインをS1、S2、S3と名付け、3つのレジスタンスラインをR1、R2、R3と名付けました。

ワイルダーの著書では
S1=B1、S2=B2、S3=LBOP、R1=S1、R2=S2、R3=HBOPと名付けられています。
B1、B2、S1、S2とは買い(Buy)の1回目のチャンス、2回目のチャンス、売り(Sell)の1回目のチャンス、2回目のチャンスという意味でしょう。
そしてLBOPとはLow Breakout Pointの略で下降へブレイクしたポイントを示し、HBOPとはHigh Breakout Pointの略で上方へブレイクしたポイントを示します。

カバのイラスト

3、PIVOTの導入

残念ながらmt4の標準のインジケーターにはPIVOTがありません。しかし、mt4の素晴らしいところは標準で用意されていなくてもネットの中で探して、それを自分のmt4に入れることが出来ることです。

まず、mt4用PIVOTというワードで検索してみましょう。ダウンロード出来るサイトがいくつも見つかるはずです。

そのインジケーターをmt4に入れる方法は上記メニューの「ファイル」から「ファイル」→「データフォルダを開く」→「MQL4」→「indicators」という順番でフォルダを開き、そのindicatorsフォルダにダウンロードしたPIVOTインジケーターを入れるだけです。

入れた後はそのインジケーターをmt4に認識させるためにmt4を再起動します。再起動の後、上記メニューの「挿入」から「挿入」→「インジケーター」→「カスタム」と進んでいくと、そのカスタムの中にPIVOTと言う名前が出てきます。そのPIVOTをクリックすると、表示しているチャートにPIVOT(ピボット)が描かれます。

但し、PIVOT(ピボット)は短期売買のインジケーターがですので、日足より短い足、つまり4時間足、1時間足、30分足、15分足、5分足、1分足、などに表示されますが、日足以上の足には表示されません。通常15分足あたりで見るときれいに表示されます。

4、計算式の意味

PIVOT(ピボット)は前日の価格を元に本日の抵抗線・支持線を算出しようと言うものです。まず、PIVOTというのは前日の中心価格です。日本で言えば4本値(始値・終値・高値・安値)の平均値が中心価格となるところですが、海外は近年まで3本値(終値・高値・安値)が中心でした。ですから、その平均値が中心価格となります。

その中心価格を元に価格が上昇したときの最初の抵抗線をR1で示し、価格が下落したときの最初の支持線をS1で示しました。

昨日の価格と本日のR1S1の図

R1、S1をどう求めたかは、中心値段から上がっている分だけ中心値段から下がったところに位置するのが、S1、中心値段から下がった分だけ中心値段から上がったところに位置するのがS1です。価格がもみあい状態のときに一番抵抗(あるいは支持)を受けやすい場所です。

続いてR2、S2が2番目に価格に影響を与える抵抗線、支持線です。

昨日の価格と本日のR2S2の図

R2・S2は上図を見ていただければわかるとおり、中心値であるPIVOTから昨日の最大値動き(高値-安値)分離れたところに位置します。つまり、ここまでがレンジ相場として想定出来るところであり、そこを超えるとレンジとは捉えづらいところです。

続いてR3、S3はトレンド発生を決定づけるラインです。

昨日の価格と本日のR3S3の図

R3は最初の抵抗ラインであるR1から昨日の最大値動き分上に離れた位置です。またS3は最初の支持ラインであるS1から昨日の最大値動き分下に離れた位置です。ここを超えてしまえば、上昇トレンド発生、下降トレンド発生と見るしかないという位置となります。

5、PIVOTの使い方

レンジ相場のときに一番多いのはR1が抵抗ラインになり、S1が支持ラインになるという動きです。しかし、必ずそこで反転するとは限りませんので、R1近辺で反転し出したら売る、S1近辺で反転し出したら買うという基本姿勢が大事です。

R1を価格が超えたときR2でまた抵抗を受けます。そのときも下げを確認してから仕掛けるようにしましょう。S2の位置も同様です。R2・S2での反転は一時的な押し目・戻しという可能性もありますので注意が必要です。

R2を超えたとき、次の抵抗はR3となりますが、もうここまで来るとトレンド発生の可能性が高まりますので、R3近辺で反転しても即、売りを仕掛けるというのはよくありません。もし、価格がR3を突破したとしたら、まずは、それまで売りを持っていたとしたらすぐに手じまいをしなければいけません。また、そこからは順張りの仕掛けを検討します。
S3を突破したときも同様です。

PIVOTはディトレード、スイングトレード等で使われることが多く、日足、週足、月足で使うことはありません。

米ドル円15分足の図

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小次郎講師(手塚宏二)

小次郎講師(手塚宏二)

チャート分析の第一人者としてセミナーで講師を務めるなど、教育活動を精力的に展開している人気講師。

資格等

日本テクニカルアナリスト協会
認定テクニカルアナリスト

書籍

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