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エリオット波動理論とは?分析方法やルールについて

第16回

エリオット波動理論とは?分析方法やルールについて

エリオット波動分析

エリオット波動の図

1、エリオット波動とは

1930年代にアメリカ人のラルフ・ネルソン・エリオット氏が発見した株価変動の原理です。移動平均線やMACDなどのインジケーターとは違い、価格変動の形状からトレード戦略を構築するものとなります。

エリオットが観察してきたチャートの値動きから見出したチャートパターンが、エリオット波動の理論の中核となっています。

2、エリオット波動の基本的な考え方

相場は5つの上昇波動と3つの下降波動を基本構成として周期が成り立っているという考え方です。そして、その考え方にはいくつかの原則やガイドラインがあり、それらのルールに基づいて分析していくというものです。それは、5波動で推進し、3波動で修正するといいう考え方です。

そして、それらが幾重にも重なってフラクタル構造(一部の拡大が全体とよく似た形状)になっています。結果的に5つの基本パターンで構成され、その波形が組み合わさって様々なチャートの形状が作られます。そのチャートの形状から現在地がどういった状況にあるか、また、フィボナッチを活用してどの程度の値動きになるかということを分析していきます

カバのイラスト

3、エリオット波動の基本波形

エリオット波動には基本の波動パターンというものがあり、その考え方が大きな特徴となっています。

基本の波動パターンとは、(1)波から(5)波まで3段上げの上昇をした後に、(A)(B)(C)と3つの波で下降をします。この5つの上昇と3つの下降の動きがワンセットで基本の形となります。

この一連の動きを理解するには、推進波と修正波という考え方が必要になります。(1)から(5)によって上昇波動が作られます。上昇相場においてはトレンドを推進していく力になりますので、推進波といいます。

一方で、(A)から(C)は、その推進して上昇した動きに対して修正が入っていますので修正波といいます。5波動による推進波と3波動による修正波が波の動きの基本となります。

推進派と修正波の図

5波の推進波と3つの修正波が基本の形であるとお伝えしましたが、推進波の中にも上昇と下降があり、修正波の中にも上昇と下降があるのがわかります。この動きの詳細を見ていくには、「アクション波」と「リアクション波」という言葉を知る必要があります。

エリオット波動理論では、一回り大きな波と同じ方向の波をアクション波、その流れを逆方向に戻す波をリアクション波と呼びます。

では、まずは(1)波から(5)波の動きを確認しましょう。一回り大きな動きは①という上昇の波動を作っていますので、その上昇と同じ動きをしている(1)波と(3)波、そして(5)波がアクション波になります。ということは、(2)波と(4)波がリアクション波です。

では、今度は(A)波から(C)波についてみていきましょう。この3つの波動で②波という一回り大きな下降の波動を作っています。つまり、下降する動きがアクション波であり、その戻しの動きがリアクション波となりますので、(A)と(C)がアクション波、(B)がリアクション波ということになります。

アクション波とリアクション波の図

4、エリオット波動の5つのパターン

ここでは、5波動の推進波の基本パターン2つと3波の修正波の3つのパターンの合計5つのパターンの基本波形についてみていきます。5波動からなる推進波は、インパルスとダイアゴナルの二つになります。

インパルスには基本的な3つのルールがあります。一つ目は、(1)波で上昇した後に、(2)波で修正されますが、その時に(1)波を割らないことです。二つ目は、(1)・(3)・(5)波の中で(3)波が一番小さくならないこと。三つ目は、(4)波は(1)波に重ならないことです。

次にダイアゴナルは全体の形がウェッジ型になり、(1)波と(4)波が重なります。この二つのパターンで推進波を形成していきます。

推進波1インパルスの図

推進波2ダイアゴナルの図

修正波の基本はジグザグ、フラット、トライアングルの3つになります。ジグザグは鋭い動きで修正しますので、推進波が終わった後に、それなりに価格が反対方向に動きます。

フラットはもみ合い相場のような修正波でそれなりに価格は変動しますが、イメージとしてはレンジ相場のような動きになります。トライアングルは、言葉通り基本形は5つの波で三角形を形成します。

そして、三角形の形が崩れるところが新たな波動が発生するところとなります。

ジグザグ・フラット・トライアングル

基本的には推進波には2つのパターンがあり、修正波には3つのパターンがあることを理解しましょう。

5、エリオット波動とフラクタル構造について

エリオット波動の考え方にはフラクタル構造というものがあります。フラクタル構造とは相似形ということであり、(1)波から(5)波までで推進波を形成し、(A)から(C)で修正波を形成し、一つの波動が形成され、(1)波から(5)波までが一回り大きな①波となり、(A)から(C)までが一回り大きな②波となります。  

一方で、(1)波と(2)波でも5つの推進波と3つの修正波で構成されているという考え方がフラクタルでチャートを見るということです。  

そのフラクタル構造の詳細を見ていくと、まずは、大きな波が推進波と修正波で2つとなり、推進波は5つで修正波は3つで構成されていますので合計8つの波になります。

それが、更に細分化され21の推進波と13の訂正波になり合計34の波になります。それが、更に細分化されて89の波と55の波となり合計144の波となるというのがフラクタルという考え方になりエリオット波動の考え方の軸の一つになっています。

これは、マルチタイムフレーム分析にも通じるところです。このマルチタイムフレーム分析とは長期、中期、短期の3種類の足種を見て、長期の足種の動きを参照して中期の足種でトレードをし、短期の足種で変化をいち早く察知するという分析手法です。これも、フラクタル構造を意識した手法になります。

フラクタル構造の図

まとめ

チャートはフラクタル構造であるということを理解しよう。マルチタイムフレーム分析で一回り大きな波動がどうなっているか、一回り小さな波動がどうなっているかを確認することで、現在地を確認することができる。

6、エリオット波動とフィボナッチについて

エリオット波動にはフィボナッチ数列が大きく影響しています。このフィボナッチ数列やそれに関連したフィボナッチ比率は、自然界や宇宙にまで通じるといわれている数列や比率のことです。

エリオット氏は価格変動も自然現象の一つであると捉えて研究しました。フィボナッチ数列とは、1から始まって隣り合う2つの数を足して次の数を作ります。そうすると、1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89、144,・・・というように数列ができあがります。

先ほどのフラクタル構造で計算した波の数を見てください。すべてフィボナッチ数列になっています。そして、フィボナッチ数列が深く関連しているために、エリオット氏はフィボナッチ比率も関連していると考えました。

このフィボナッチ比率とはフィボナッチ数同士の比率のことで、隣同士の数字の大きい数から小さい数を割った比率であり、これを続けると、1.618に近づいていき、この1.618という比率が黄金比率とも呼ばれます。

そこから、フィボナッチ比率として、0.382や0.618などが使われるようになり、上昇幅に対してどの程度修正が入るかをフィボナッチ比率で確認するというように使います。

フィボナッチ比率の図

まとめ

チャートも自然界のものなので、フィボナッチが大きく影響しているということを理解しよう。

7、エリオット波動の活用方法について

チャートからエリオット波動の波形を見つけ出して、未来を予測するというのは、実は簡単なようで簡単ではありません。なぜなら、基本の形がわかりやすく出現することが少ないからです。

では、このエリオット波動をどう活用すればよいのでしょう。それは、エリオット波動のフラクタル構造という考え方と推進波、訂正波の考え方を活用します。推進波にも修正波にもそれぞれ、アクション波とリアクション波があります。

つまり、上昇には二つの上昇があり、下降にも二つの下降があるということを確認してトレードをするということです。どういうことかというと、上昇には推進波でトレンドを作るアクション波の上昇とトレンドの修正をする修正波におけるリアクション波の上昇があるということです。

では、具体的にどう活用するかというと、トレードを行う時にチャートがフラクタル構造であることを利用し、マルチタイムフレーム分析を行います。トレードする足種の一回り大きな波動が推進波か修正波かを確認します。

基本はその一回り大きな足種が推進波のときに、自身がトレードしている足種では買いでトレードをし、一回り大きな足種が修正波のときに、自身のトレードしている足種では売りのトレードをします。

そして、実際にトレードしている足種においては、価格がどう推移しているかを、アクション波とリアクション波かを活用して、その都度検証していきます。例えば、高値から価格が下降してきたとします。

そして、安値を付けて価格が上昇してきました。このときの考え方が重要になります。その上昇が推進波のアクション波の上昇なのか、修正波のリアクション波である上昇なのかを考えます。現状は未だ判断が付きません。

しかし、それが推進波の上昇であれば当然、直近の高値を更新していきます。そのときに2段目か3段目かを確認できます。一方で、修正波のリアクション波である上昇であれば、高値を更新せずに、逆に安値を割っていきます。

その際には修正波が継続していることが確認できます。このように活用することで、推進波におけるアクション波である上昇だけを買いで狙う、もしくは、修正波のアクション波である下降だけを売りを狙うという意識が生まれます。

修正波のリアクション波である上昇はトレンドが継続しませんので、そこでのトレードは成功確率が下がります。また、価格が下降してきたときにも、推進波のリアクション波である下降か、修正波のアクション波である下降かを意識するだけでも違ってきます。

なぜなら、価格が下がってきても、その後、直近の高値を更新すればその下降は推進波のリアクション波であったことがわかり、直近の高値を更新できずに安値を割っていけば、その下降は修正波のアクション波の下降であったと判断できるからです。このようにエリオット波動を活用することで、成功しやすい場所でトレードするという意識と判断ができるようになります。

上昇には

まとめ

買いを狙うところ、売りを狙うところを意識すると、トレードに変化が生じます。難しい、難解といわれるエリオット波動ではありますが、仕組みの基本を理解して活用してみましょう。

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小次郎講師直伝「チャートの極意」

小次郎講師(手塚宏二)

小次郎講師(手塚宏二)

チャート分析の第一人者としてセミナーで講師を務めるなど、教育活動を精力的に展開している人気講師。

資格等

日本テクニカルアナリスト協会
認定テクニカルアナリスト

書籍

 『小次郎講師流 目標利益を安定的に狙い澄まして獲る 真・トレーダーズバイブル―Vトレーダーになるためのツール作り』
 『移動平均線 究極の読み方・使い方』
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