第3回
※上記は5日移動平均線・20日移動平均線・40日移動平均線
究極の移動平均線と呼ばれる「移動平均線大循環分析」は短期・中期・長期の移動平均線の3本使いです。それぞれの線は短期のトレンド、中期のトレンド、長期のトレンドの方向性と強さを示します。移動平均線のパラメーターを何日にするかはそれぞれの通貨ペアで最適なものを探してもらえばいいのですが、入門者には難しいでしょうから、5日、20日、40日からスタートしてください。(※日足以外の場合は5本、20本、40本となります。)
明日、為替レートが上昇するか下落するかは基本的に50:50(フィフティ・フィフティ)です。為替のレートは売り手と買い手のバランスで決まり、これから先上がると思っている人が多ければ上昇し、下がると思っている人が多ければ下落します。ということは現在の価格が成立しているということは、これから先上がると思っている人と、下がると思っている人がそのレートで均衡しているということなのです。
しかし、ときに買い手と売り手のバランスが崩れ、買方が有利になる局面、売方が有利になる局面があります。そういった状態を買いにエッジがある、売りにエッジがあると言います。エッジとは「優位性」、つまり有利な状態のことを指します。
どういうときにエッジが発生するかと言いますと、その代表はトレンドです。上昇トレンドは買方にエッジがあることを示し、下降トレンドは売方にエッジがあることを示します。
なぜならトレンドの最大の特徴は「継続する」という性質があるからです。
もちろん、トレンドもいずれ終わります。しかし、明日終わるか、明日も継続するかを天秤にかけたとき、圧倒的に明日も継続するという可能性が多い状態がトレンドがあるという状態なのです。だから昔からトレードをする人は「Trend is friend」と言ってトレンドを大事にするのですね。
継続するという性質を持っている!
移動平均線大循環分析(以下「大循環分析」)はそのエッジがある状態を浮き彫りにしてくれます。
移動平均線が上から短期・中期・長期という並び順になって3本の線が右肩上がりな状態が買いにエッジがある状態。上から長期・中期・短期という並び順になって3本の線が右肩下がりな状態が売りにエッジがある状態です。こういう状態を「パーフェクトオーダー」と言います。
チャートに大循環分析を付けたなら、価格変動を3つの状況に分類してください。
1、安定的に上昇している局面
2、安定的に下降している局面
3、それ以外
・安定上昇局面
・安定下降局面
・それ以外
チャート分析は難しい価格変動をわかりやすく紐解くためにあります。このようにシンプルに分類し、安定上昇局面で買いを仕掛ける、安定下降局面で売りを仕掛ける、それ以外のときは何もしない、というルールを作っただけで、トレードがとても簡単になります。
一般的に個人トレーダーは難しい局面でどう取ろうかというところに頭を悩まし、安定上昇・安定下降の局面を取り逃がすことが多いのです。勝つために必要な心構えは安定上昇局面、安定下降局面をしっかりと取れるかということです。
移動平均線の並び順は次の6種類しかありません。それぞれのケースをわかりやすくするためにステージ1、ステージ2・・・と名前を付けてみました。
上から
・短期・中期・長期・・・ステージ1
・中期・短期・長期・・・ステージ2
・中期・長期・短期・・・ステージ3
・長期・中期・短期・・・ステージ4
・長期・短期・中期・・・ステージ5
・短期・長期・中期・・・ステージ6
この並び順は線と線のクロスによってステージが変化していくのですが、このステージの変化は次の順で変化するのが基本です。
このことを移動平均線大循環と呼び、大循環を使う分析手法ですので、移動平均線大循環分析と呼びます。上記の順番で動くことを「正順」あるいは「順行」と呼び、価格変動のおよそ7割が正順での推移となります。
では残りはどのような推移かと言いますと、残りの3割も規則正しい動きで、「逆順」あるいは「逆行」と呼び、正順の丁度逆の動きとなります。
では実際のチャート上で確認してみましょう。
上記チャートで確認すると約7ヶ月の間、ほとんどが正順の展開で逆順は1回しかありません。皆さん、さまざまなチャートで検証してみてください。ステージの大循環が起こる理由は下図をご覧ください。価格が上昇下降を繰り返すときに、3本の移動平均線がどう動くかを示したものです。
大循環分析には以下の性質があります。その性質を使ってトレードを有利に進めていこうというのが大循環分析の考え方です。
・価格変動の大半が正順の動きでステージが推移する。
・残りのケースは逆順で推移する。
・ステージの変化は正順か逆順のみ。その他の動きはない。
・ステージの変化は正順にしろ逆順にしろ1段階ずつ。ステージ1の次にステージ3が来るような「飛ばし」はない。(※ただし3本の線が1点でクロスする場合は除く)
・逆順は一時的、最終的には正順に戻る。
・逆順は1ステージか2ステージが多い。その後は正順で動く。
・ステージ1、ステージ4は長く続くことが基本。
・ステージ23、ステージ56は移行期(変化期)のため、あっという間に通り過ぎるのが基本。
・ステージ1や4が短く、ステージ2356が長いときは、もみあい状態である可能性が高い。
現在のステージは3本の移動平均線の並び順を見ればすぐにわかります。そして現在のステージがわかれば現在の状況がわかり、そして次の展開も予測出来るわけです。現在がステージ6だとすると、次の展開はステージ1に進むか、ステージ6に戻るかふたつにひとつしかありません。ステージ1に進むなら安定上昇トレンドが発生する可能性がありますので、早めの仕掛けを検討するのです。
大循環分析の仕掛けは3本の移動平均線の並び順が上から短期・中期・長期(=ステージ1)となり、3本の線が右肩上がりということを確認したら、すぐに買いで仕掛けます。3本の線の並び順が上から長期・中期・短期となり、3本の線が右肩下がりということを確認したらすぐに売りを仕掛けます。
そして、3本の線の並び順が変わらない間、持ち続けて、並び順が変わったら(あるいは変わると予見出来たら)手じまうというのが基本戦略です。
買い=ステージ1で3本の線が右肩上がりを確認したらすぐに。
売り=ステージ4で3本の線が右肩下がりを確認したらすぐに。
【基本の手じまいポイント】
3本の線の並び順が変わったら。(変わると予見出来たら)
大循環分析の基本戦略の長所は大相場をしっかりと取れるということです。一般投資家はどうしても利益確定を急ぎがちで、大相場を小さくしか取れません。大循環分析では大相場のときには上がり続ける限り手じまいのサインが出てきませんので、ずっと持ち続けることが出来ます。
欠点はもみあい相場が続くとチャンスがなかなかないということです。そして、小さなトレンドのときは仕掛けるとすぐにトレンドが転換してしまい、利益を上げることが出来ません。そこでステージ変化の法則を見抜き、ワンテンポ早く仕掛けたり、手じまいの時期を工夫したりします。
長続きして安定上昇になりやすいステージです。
このステージで3本の線が右肩上がりであれば、買いにエッジがある状態です。
このステージが短期で終了したときはもみあい相場入りの可能性があります。
上昇相場が終焉した可能性があります。
ただし一時的な押し目ということがあります。その場合はステージ1に戻ります。
下降トレンドの第1予兆です。売りの試し玉を検討します。
下降相場の入り口です。
短期で終わることが多いのですが、ステージ23が長続きする場合はもみあい相場期の可能性大です。
売りの早仕掛けを検討します。
長続きして安定下降になりやすいステージです。
このステージで3本の線が右肩下がりであれば、売りにエッジがある状態です。
このステージが短期で終了したときはもみあい相場入りの可能性があります。
下降相場が終焉した可能性があります。
ただし一時的戻しということがあります。その場合はステージ4に戻ります。
上昇トレンドの第1予兆です。買いの試し玉を検討します。
上昇相場の入り口です。
短期で終わることが多いのですが、ステージ56が長続きする場合はもみあい相場期の可能性大です。
買いの早仕掛けを検討します。
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チャート分析の第一人者としてセミナーで講師を務めるなど、教育活動を精力的に展開している人気講師。
資格等 |
日本テクニカルアナリスト協会 |
書籍 |
『小次郎講師流 目標利益を安定的に狙い澄まして獲る 真・トレーダーズバイブル―Vトレーダーになるためのツール作り』 |
小次郎講師(手塚宏二)について🔗 |
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