一目均衡表とは?見方・雲の使い方をわかりやすく解説、前編

第9回

一目均衡表とは?見方・雲の使い方をわかりやすく解説、前編

一目均衡表分析

一目均衡表

1、一目均衡表とは?

一目均衡表は昭和の初期に一目山人(本名 細田悟一)氏により、考案されたテクニカル指標です(参考文献、「一目均衡表原著」一目均衡表の著作権は株式会社経済変動総研に属します)。昭和44年より一目均衡表7部作を発表し、大ブームを巻き起こしました。現在は世界中で使われるようになり、海外の投資家も一目均衡表を頼りにトレードをする人がどんどん増えてきています。

まずは一目山人氏が一目均衡表に秘めた相場の考え方を紹介します。

【一目山人氏の相場理論】

■相場の現在性を知る
・買方と売方のどちらが勝ち、どちらがどの程度負けているかを知ることを「相場の現在性」と一目山人氏は言いました。そして、相場は買方と売方の均衡が破れた方に動いていくと見抜きました。

■時間論(時間が主体)
・時間こそが相場そのものであると悟り、相場の主体は時間にあり、価格は結果として従ってくるというのが一目均衡表の時間論の考え方です。

■単純なものにこそ心理がある。
相場は動くか動かないか、動くとしたら上がるか下がるか?
・シンプルに捉えることが大事です。

任運自在(にんぬんじざい)
・「運(うん)に任せて」ではなく、「運び(はこび)に任せて」。つまり流れに任せてという意味です。
・相場の変化を敏感に感じ取り、その流れをつかむ。その流れに臨機応変に乗る。
・そのために「常に建玉なきがごとく」というのが氏の教えです。トレードをしていないときには見えるものが、トレードをすると欲や恐怖心で見えなくなることを戒めました。

■予測
「相場は予想するものではない、予測するものである」と氏は言います。
・あらかじめ思う(=予想)と思い込みになる。予測とは今後の展開をあらかじめ想定しておくことです。


カバのイラスト

予想はよそう!

・・・

ライオンのイラスト

2、5つの線を見分ける

一目均衡表は5つの線で出来ています。「転換線」「基準線」「先行スパン1」「先行スパン2」「遅行スパン」です。まずはこの線の識別が出来ることが大切です。上記チャートをごらんください。遅行スパンはひとつだけ後ろにずれている線です。ですからすぐに見つかります。先行スパン1と2はろうそく足の先端からさらに先行して描かれている二つの線です。この二つの線に囲まれた部分を「雲」と呼びます。

逆に言えば、雲を形成する二つの線が先行スパンとわかります。そしてその二つの線のうち、横這い状態が長いのが先行スパン2、短いのが先行スパン1です。

価格と一緒に上下動を繰り返している線が転換線・基準線ですが、よりろうそく足の近くにある線が転換線。転換線の外側にあるのが基準線です。

3、計算式を覚える

■転換線=(過去9日間の最高値+最安値)÷2
■基準線=(過去26日間の最高値+最安値)÷2
■先行スパン1=(転換線+基準線)÷2を26日将来に描画
■先行スパン2=(過去52日間の最高値+最安値)÷2を26日将来に描画
■遅行スパン=終値を26日過去にずらして描画

※説明上、○日間と表記しますが、週足・月足・分足・時間足等でも一目均衡表は同様に使えます。
※一目均衡表の数え方は全て当日を含んだ計算法です。

一目均衡表を覚えるときは、まず、計算式を覚えなくてはいけません。一目均衡表の計算式は簡単です。簡単な計算式で出来上がっているチャートが難しいはずがありません。ただ、線が5つあること、そして先行・遅行というずらすという考え方が他のテクニカル指標にほとんどないため、難しさを感じるだけです。

4、一目均衡表の基本的見方

■一目均衡表の買いサイン

・均衡表の好転=転換線が基準線を下から上にクロスする。
・遅行スパンの好転=遅行スパンがローソク足を下から上にクロスする。
・三役好転=上記達成と共に価格が雲を上抜ける。

■一目均衡表の売りサイン

・均衡表の逆転=転換線が基準線を上から下へクロスする。
・遅行スパンの逆転=遅行スパンがローソク足を上から下にクロスする。
・三役逆転=上記達成と共に価格が雲を下抜けること。

用語が少し難しいですが、しっかりと覚えましょう。売方と買方の力関係が買方有利に傾くことが好転、売方有利に傾くことが逆転と思ってください。要素は3つあります。

①転換線と基準線の関係

・転換線が基準線より上、買い時代
・転換線が基準線より下、売り時代

②遅行スパンとローソク足の関係

・遅行スパンがローソク足より上、買い時代
・遅行スパンがローソク足より下、売り時代

③現在の価格と雲の関係

・価格が雲より上、買い時代
・価格が雲より下、売り時代
・価格が雲の中、気迷い時代

ということで、この3つの要素が全部買い時代を示すことを三役好転と言い、大きな買いシグナルとなります。またこの3つの要素が全部売り時代を示すことを三役逆転と言い、大きな売りシグナルとなります。

もうひとつ一目均衡表には大事な指標があります。それは基準線の勾配です。基準線は「基準」というネーミングのとおり、一目均衡表の柱となる線です。

④基準線の勾配

・基準線が上昇、上昇トレンド
・基準線が下降、下降トレンド
・基準線が横這い、もみあいトレンド

この4つが一目均衡表の有名な売買サインとなりますが、実は一目均衡表は奥が深く、この世間に知れわたっている一目均衡表の見方はせいぜい、一目均衡表の見方の全体像から見たら1割程度と言えます。

日本発の世界を代表するテクニカル指標一目均衡表。是非、この機会にしっかりと学んでいたければと思います。

カバのイラスト

予算の関係で相撲まわのデザイナーを雇えず、肝心なところを手で隠しています(><)
手ブラならぬ手相撲まわ(^^ゞ

これより三役はっけよい

ライオンのイラスト

5、一目均衡表は半値線で出来ている。

半値線とはある一定期間の最高値と最安値の中間を毎日つないだ線のことです。一目均衡表の各線は半値線で出来ています。

■半値線

転換線・・・9日間の半値をつないだ線。
基準線・・・26日間の半値をつないだ線。
先行スパン2・・・52日間の半値をつないだ線。ただし、26日将来に描画。

■変則半値線

先行スパン1・・・半値線である転換線と半値線である基準線の半値。但し26日将来に描画。

■半値線でない

遅行スパン・・・遅行スパンは終値を26日ずらしただけですから半値線ではありません。

一目均衡表とは「ひとめで均衡がわかるチャート」という意味です。さて、一目均衡表を見てどうやってひとめで均衡がわかるのでしょうか?そしてそれを元にどんな分析が出来るのでしょうか?

26日間の最高値と最安値の図

半値線の役割を半値線の代表選手である基準線を元に解説してみましょう。本日から26日間の値動きに注目してみます。基準線を求めるためには26日間の最高値と最安値を知る必要があります。仮に最安値200円、最高値300円と思ってください。その瞬間に基準線は250円の位置とわかります。

仮に本日の価格が280円だったとします。仮に最安値である200円が先に出現して、その後最高値300円が出現したと思ってください。そのケースでは200円から300円まで上昇トレンドがあったと考えられます。そして今は頂点から少し下がって280円です。このとき、先ほどあった上昇トレンドはもう終わってしまったでしょうか?それともこれくらいの下げなら一時的な押し目で再度上昇していくでしょうか?答えは今後の値動きを見るまでわかりません。しかし、投資家がどのように判断しやすいかということは想像出来ます。200円から300円まで上昇した相場が、その後280円まで下がったとしても、この程度の下げなら、まだまだ一時的な下げで上昇相場は終わってないと判断する人が多いのです。

逆に現在の価格が230円だったとします。200円から300円まで上がった相場が230円まで下がるとすると下落率70%です。もう押し目とは言いにくいですね。上昇トレンドは終わったと見る人が多いでしょう。

ではその分岐点はどこか?それが半値なのです。半値より上、上の図では緑色の動きであれば、大半の投資家が押し目と判断します。ところが半値を超えて下がってくるなら(上の図では青色の動き)、大半の投資家が上昇トレンド終了と見なしてくるのです。

26日間の最高値と最安値の図

26日間の値動きで最高値が先に出現したケースも全く同じです。ある時期300円から200円までの下降トレンドがあり、そこから現在の値段まで価格が反転しました。現在の価格が半値である250円より下であれば、まだ一時的な戻しと判断する人が多いでしょう。戻しと判断すればこれから先は売り目線で見ることになります。現在の価格が半値である250円より上であれば、もう下降トレンドは終了と見る投資家が多いでしょう。ということは買い目線に変わるということを意味します。

つまり、最安値が先に出現したケースも最高値が先に出現したケースも同じく、現在の価格が半値より上であれば、買方優勢、下であれば売方優勢となります。

■半値線の役割

①相場水準を表す。
②トレンドを表す。
③相場の均衡点を示す。

①半値線は相場水準を表す。
一目均衡表で意味する相場水準とはある一定期間価格変動の中心のことです。半値線という名前のとおり、半値線が値動きの中心を示しているのは間違いありません。

②トレンドを表す。
相場水準がどんどん切り上がっているのが上昇トレンド、相場水準がどんどん切り下がっているのが下降トレンド。相場水準が変化しないことがもみあい相場です。半値線の動きを見ればトレンドがわかるのです。

③均衡点を示す。
半値線はその時点の相場の均衡点を示すことがわかりました。つまり現在の価格が半値線より上にあれば現時点は買い勢力の方が強い、半値線より下にあれば売り勢力の方が強いということがわかるのです。

6、何故半値線が3本あるのか?

一目均衡表には期間の違う半値線が3つあります。転換線・基準線・先行スパン2です。この3つの半値線はそれぞれ短期勢力・中期勢力・長期勢力の状態を見比べるために用意されています。

■転換線

・短期勢力の相場水準を表し
・短期勢力のトレンドを表し、
・短期勢力の均衡点を示す。
それにより、価格が転換線より上にあれば短期勢力は買方優勢、転換線より下にあれば売方優勢というのがわかります。

■基準線

・中期勢力の相場水準を表し、
・中期勢力のトレンドを表し、
・中期勢力の均衡点を示す。
それにより、価格が基準線より上にあれば中期勢力は買方優勢、基準線より下にあれば売方優勢というのがわかります。

■先行スパン2

・長期勢力の相場水準を示し
・長期トレンドの方向性を示し
・長期勢力の均衡点を示す。
それにより、価格が(26日先に描かれた)先行スパン2より上にあれば長期勢力は買方優勢、先行スパン2より下にあれば売方優勢というのがわかります。

※分析例

一目均衡表

上記チャートで分析すると現在値が四角い黄色。転換線の位置が青丸、基準線の位置が赤丸、先行スパン2の位置が緑丸です。とすると次のように分析出来ます。

転換線>現在値
・短期的には売方がやや優勢です。

基準線≒現在値
・中期的には売方買方はほぼ均衡しています。

先行スパン2<現在値
・長期的には買方優勢です。

(以下次回に続く)

参考文献:「一目均衡表原著」(一目均衡表の著作権は株式会社経済変動総研に属します。)

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小次郎講師(手塚宏二)

小次郎講師(手塚宏二)

チャート分析の第一人者としてセミナーで講師を務めるなど、教育活動を精力的に展開している人気講師。

資格等

日本テクニカルアナリスト協会
認定テクニカルアナリスト

書籍

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