第27回
FXでトレンドの勢いを測りたいとき、どのインジケーターを使えば良いか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。FXにはさまざまなオシレーター系指標がありますが、相場の強弱や転換点を視覚的に捉えられるツールとして、世界中のトレーダーから支持されているのがオーサム・オシレーター(Awesome Oscillator)です。ビル・ウィリアムズが開発したこの指標を活用することができれば、トレンドの勢いや反転を容易に把握することができるでしょう。
本記事では、オーサム・オシレーターに関する基礎知識や計算式にくわえて、使い方や活用方法などを詳しく解説します。非常にシンプルで便利なインジケーターとなっておりますので、トレードの精度を上げたい方はぜひ参考にしてみてください。
オーサム・オシレーター (Awesome Oscillator, 略称AO) は、ビル・ウィリアムズ氏が開発したトレンド系オシレーターで、現在の市場の勢い(モメンタム)を視覚化するために使用されます。特に、トレンドの転換点やエントリーのタイミングを見極めるのに役立ちます。
AOはゼロラインを基準に描画されます。
ゼロラインより上にある場合:上昇トレンドの勢いが強いことを示唆。
ゼロラインより下にある場合:下降トレンドの勢いが強いことを示唆。
AOは、価格の単純移動平均(SMA)にもとづいて計算され、視覚的には緑と赤のバーで表示されます。緑のバーは市場の勢いが上向きであることを表し、赤のバーは市場の勢いが下向きであることを表しており、バーの長さによって勢いの強さを確認することが可能です。このシンプルな表示形式が、AOがトレンドの勢いや反転を容易に把握できる理由のひとつといえるでしょう。
オーサム・オシレーター
(Awesome Oscillator)

AOの計算式は以下の通りです。
計算式
AO =(5本SMA) –(34本SMA)
5(本)SMAの定義:5期間の単純移動平均
例:5本の価格が、110円、115円、120円、125円、130円だとすると
5(本)SMA=(110円+115円+120円+125円+130円)÷5=120円
34(本)SMAの定義:34期間の単純移動平均
計算例は、34期間の価格を合計し、34で割ったもの
この計算式により、短期のモメンタムと長期のモメンタムの差を視覚化し、勢いの変化を検出します。
ラインの意味
AOがゼロラインより上にある場合:上昇トレンドが強い。
AOがゼロラインより下にある場合:下降トレンドが強い。
AOの計算式で確認したとおり、AOは(5SMA-34SMA)でした。それでは、AOがゼロラインになる部分はどういう意味があるのでしょうか。これは、5SMAと34SMAを描画することで、その意味がすぐに理解できます。
AOがゼロラインになる部分は、5SMAと34SMAがゴールデンクロス(5SMAが34SMAに対して下から上にクロス)したところと、デッドクロス(5SMAが34SMAに対して上から下にクロス)したところです。
よって、ゼロラインを上回ってきた場合は上昇トレンドの勢いが出てきたと判断し、ゼロラインを下回ってきた場合には下降トレンドの勢いが出てきたと判断できるのです。
ゼロラインの意味

色変化の意味
緑のバー:前のバーより値が上昇している。
赤のバー:前のバーより値が下降している。
この視覚的な変化により、モメンタムの増減を容易に把握できます。つまり、ゼロラインより上にある場合は、緑のバーが続くと上昇が継続しており、赤のバーが出現すると勢いが弱まってきたことが分かります。一方で、ゼロラインより下にある場合は、赤のバーが続くと下降が継続しており、緑のバーが出現すると勢いが弱まってきたことが分かります。
緑のバーと赤のバーの意味

AOを用いた基本的な売買サインは以下の通りです
買いサイン: AOがゼロラインより下から上に移行してきたところ
売りサイン: AOがゼロラインより上から下に移行してきたところ
基本の買いサイン、売りサイン
買いサイン: AOがゼロラインより下で、赤のバーが減少し緑のバーが出現した時
売りサイン: AOがゼロラインより上で、緑のバーが減少し赤のバーが出現した時
順張りでは、既存のトレンドに従った売買を行い、逆張りではトレンドの反転を狙います。
順張りはしっかりとトレンドを狙うことができるというメリットがありますが、トレンドの動きが小さいときには損切りが続く傾向があるというデメリットがあります。
一方、逆張りはトレンドが小さいときには細かな動きを狙うことができ、また、早い仕掛けができるというメリットがありますが、大きなトレンドが発生したときには取り逃がしてしまうというデメリットがあります。
AOは、市場の勢いや転換点を直感的に把握することができ、多くのトレーダーが活用しているインジケーターです。ここでは、AOのメリット・デメリットについて解説していきますので、しっかり確認しておきましょう。
FXでAOを活用する最も大きなメリットは、市場の状況を視覚的に把握しやすい点です。AOは、緑と赤のバーの向きや長さによってトレンドの方向性や強さが視覚化されており、非常にシンプルな表示になっています。そのため、市場の勢いを直感的に把握することができ、トレードの精度向上につなげることが可能です。
また、AOはトレンドの転換点を把握する際にも役立ちます。AOを上手く活用できれば、トレンドの転換後すぐにエントリーすることで大きな利益を狙うことができるでしょう。
AOを活用するデメリットは、市場が急激に変化した際に対応できない場合があることです。AOは過去のデータをもとに計算されているため、イレギュラーが発生するとエントリーポイントを正確に見極めることが難しくなります。
このようなケースに対応するためにも、AOは他のテクニカル指標と併用することをおすすめします。ストキャスティクスや移動平均線などの指標と組み合わせることで、より正確に市場の状況を分析することができるでしょう。
AOは単体で使用するだけでなく、他のオシレーターやインジケーターと組み合わせることでその効果を最大化できます。
ストキャスティクスやRSIとの併用:
AOでトレンドを確認し、ストキャスティクスやRSIで過熱感やダイバージェンスを検出します。
(*ダイバージェンスとは、トレンド転換の予兆を捉えるもので、価格が安値更新して右肩下がりとなるも、オシレーターは安値を更新せずに右肩上がりになる動き)
他のオキシレーター(RSI)と併用する

移動平均線との併用:
トレンドの方向性を移動平均線で確認し、AOをタイミングツールとして活用します。特に、AOのパラメーターと合わせることで、移動平均線の変化をより細かくAOでとらえることができます。
他のインジケーター(移動平均線)と併用する

オーサム・オシレーターの開発者であるビル・ウィリアムズ氏は、アメリカの著名な投資家です。AO以外にも数多くのインジケーターを開発しており、これらはビル・ウィリアムズ系インジケーターと呼ばれています。
●アクセラレーター・オシレーター(Accelerator Oscillator)
●フラクタル(Fractals)
●アリゲーター(Alligator)
●マーケットファシリテーションインデックス(BW MFI)
●ゲーターオシレーター(Gator Oscillator)
ここでは、ビル・ウィリアムズ氏が開発した主なインジケーターについてそれぞれ解説していきますので、気になるインジケーターがあればぜひ活用してみてください。
アクセラレーター・オシレーターとは、価格の勢いの変化を分析するために使用されるインジケーターです。トレンド系オシレーターの一種であり、AOと併用することでさらに精度の高い分析が可能になります。
AOと同じく緑と赤のバーで表示され、ゼロラインを基準にトレンドの方向や勢いを視覚的に判断することができます。アクセラレーター・オシレーターを上手く活用することができれば、トレンドの初期段階で変化を捉えることができるでしょう。
なお、アクセラレーター・オシレーターについては第28回コラムでも詳しく解説しておりますので、あわせて参考にしてみてください。
アリゲーターは、3本の平滑移動平均線で構成されるテクニカル指標です。3本の平滑移動平均線をワニのアゴ(長期)・歯(中期)・口(短期)に見立て、トレンド相場かレンジ相場なのかを判断します
基本的に、アリゲーターが口を閉じている(眠っている)場合は売りのサインとし、アリゲーターの口が開いている(捕食している)場合は買いのサインです。トレードの精度を上げるために、アリゲーターはフラクタルと組み合わせて使用しましょう。
アリゲーターをベースに開発されたテクニカル指標であり、3本の移動平均線の絶対差をヒストグラム化したものです。アリゲーター単体では判断しにくいトレンドの勢いを視覚化することで、取引の最適なタイミングを分析することができます。そのため、アリゲーターを使用する場合は基本的にゲーターオシレーターもセットで使用しましょう。
フラクタルとは、市場の高値と安値を表示するツールです。5本の連続したローソク足の中央が最高値または最安値となるポイントを矢印で表示し、サポートラインやレジスタンスラインの候補として機能します。特にアリゲーターとの相性が良いため、トレンドの継続や反転を判断する際のサインとして活用してみてください。
マーケットファシリテーションインデックスは、価格変動の幅と出来高を分析することでトレンドの方向性を判断できる指標です。4つのグラフによって構成され、市場の過熱度やトレンドの変化を分析することができます。マーケットファシリテーションインデックスを上手く活用できれば、より高い精度でトレードのタイミングを見極めることができるでしょう。
オーサム・オシレーターは、シンプルな計算式でトレンドの勢いや転換の兆候を視覚化できる便利なインジケーターです。順張りと逆張りの両方に対応しており、トレードの精度を高めるために役立ちます。また、移動平均線と併用することでAOが相場の勢いの変化をより細かく示唆してくれます。
市場の状況に応じてAOを柔軟に活用し、他のオシレーターやインジケーターと組み合わせることで、より精度の高い取引を目指しましょう。
当コンテンツは為替相場等に関連する一般的な情報の提供を目的としたコラムです。特定の投資方法等を推奨するものではなく、また投資の勧誘を目的とするものでもありません。
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チャート分析の第一人者としてセミナーで講師を務めるなど、教育活動を精力的に展開している人気講師。
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